LABORATORY
阿部和建築文化研究所
GREETING
ご挨拶
会長挨拶
阿部和工務店は昭和39年(1964)創業以来、宮城県の地域密着型建設業のたてものづくりに邁進してまいりました。
当社の社会貢献活動の一つとして平成17年に阿部和建築文化研究所を設立しました。設立以来、工学博士宮澤智士所長のご指導、安井妙子先生の設計監理のもと、 当社の施工した高断熱高気密修復古民家は15棟を数え、お客様に喜んでいただいております。同時に阿部和建築文化研究所叢書として修理工事報告書を出版し、古民家復権と修復技術の普及等に努めてまいりました。
この度は新たに、日本建築史を専門とする工学博士中尾七重氏を所長に迎え、なお一層充実した活動を目指しております。どうぞ今後とも一層のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
会長 阿部 和夫
所長挨拶
2005年、古民家を次世代に残す目的で設立した阿部和建築文化研究所において、初代宮澤所長は当研究所の実践理念として下記の3点を掲げました。
1. 高断熱高気密、構造等の補強を施し、建造物そのものとして残す。
2. 高性能の断熱高気密改修を行う、専門の建築技術者、職人等を育て、技術を残す。
3. 修理工事報告書を出版し、資料として残す。
設立から15年間、宮澤所長と安井妙子研究員は高断熱高気密改修による古民家復権と研究活動を進めてまいりました。その成果は、2010年度第4回IBECサステナブル住宅賞国土交通大臣賞受賞「羽生の家」等に結実しました。二代目所長として大役を引き受け、身の引き締まる思いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
阿部和建築文化研究所所長
中尾 七重
日本建築史学研究者。山形大学理学部客員研究員、武蔵大学人文学部非常勤講師。
1957年大阪府生、大阪大学人間科学部、社会学士。千葉大学大学院自然科学研究科居住空間学専攻、博士(工学)。
(株)日本SPセンターコピーライター、財団法人日本民家集落博物館学芸員、岩手県立大学短期大学部非常勤講師、武蔵大学総合研究所研究員、文化学園大学非常勤講師を経て現在に至る。
函館市史編さん調査員、青森県史編さん調査員、国立歴史民俗博物館共同研究員、大分県日出町日出藩御茶屋襟江亭保存調査委員を務める。
2004年に放射性炭素年代測定の古建築適用研究を始め、調査技法を開発し、古建築の建築年代・変遷年代を明らかにしてきた。建築年代が判明し重要文化財から国宝に昇格指定した鑁阿寺(ばんなじ)本堂など、文化財建造物の価値を高め、地域史・建築史研究や保存活用に貢献。
2020 年より株式会社阿部和工務店の外部研究部門「阿部和建築文化研究所」の二代目所長に就任。宮城県内各地の古民家の年代調査を実施するなど精力的に活動している。 宮城県建築士会女性部会・阿部和建築文化研究所 共催のオンライン講座『語ろう学ぼう木の建築講座』 では講師として、 建築士の安井妙子氏と共に古建築について講演を行い、 毎回好評を得ている。
これまでの活動が評価され、一般社団法人日本建築学会東北支部より 2023 年度『第 44 回東北建築賞-業績賞-』 「古建築を対象にした放射性炭素年代調査法の開発と応用」を受賞した。
主な著書、学術論文
『合掌造りの謎を解くー14C年代法を古民家に適用したら、歴史の新しい見方が生れた―』中尾七重、国立歴史民俗博物館研究叢書8樹木・木材と年代研究 坂本稔・横山操編、朝倉書店、2021
『合掌造りはいつ建てられたか』中尾七重・坂本稔、日本民家園叢書13、川崎市立日本民家園、2016
『築何年?炭素で調べる古建築の年代研究』国立歴史民俗博物館・坂本稔・中尾七重編、吉川弘文館、2015
『民家は何の木でできているか』中尾七重・布谷知夫、日本民家園叢書10、川崎市立日本民家園、2011
「九間」を持つ関東平野の民家と古河公方の関連について、中尾七重、建築史学72、pp.2-33、2019.3
平行二棟造系民家の分布と肥前守護少弐氏・肥後守護菊池氏の支配地の関連について、中尾七重、文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要49、pp.29-38、2018.1
C-14 DATING OF AN OLD WOODEN BUILDING: HIKOBE HOUSE IN GUNMA PREFECTURE, JAPAN, Nanae Nakao, Minoru Sakamoto, Mineo Imamura, Hiromasa Ozaki, Koichi Kobayashi, RADIOCARBON 59(6) 1749-1760, 2017.12
分棟型民家の研究試論、中尾七重、武蔵大学総合研究所紀要 (26) pp.81-98、2017.7
天守の地階と天守台、中尾七重・安井妙子、日本建築学会東北支部研究報告集. 計画系 (84) 、pp.45-48、2021.6
真庭市指定大御堂の放射性炭素年代調査と復元考察、中尾七重、日本建築学会中国支部研究報告集 日本建築学会中国支部編44 pp.969-972、2021.3
荒川流域古民家と地域開発政策の関連について-和光市指定旧冨岡家住宅・重要文化財旧高橋家住宅、中尾七重、日本建築学会大会学術講演梗概集、pp.107-108、2020.9
「変貌する天守」ミネルヴァ通信『究』138~143,2022~2023
「仙台藩領の前常居型・後常居型民家について」日本建築学会東北支部研究報告集計画系87,2024
『絵図に見る白石城大櫓の形状変化』日本建築学会東北支部研究報告集計画系 85,2022
主幹研究員挨拶
私は1986年に初めて古民家というものに出会ってから今日に至るまで30数棟の古民家修復設計をしてきました。2002年に縁あって阿部和工務店と出会い、2005年に阿部和建築文化研究所を設立することができました。
それ以降、設計者と施工者の協力のもと阿部和建築文化研究所叢書として古民家修理報告書など16冊を超える本を出版することができたことは、私にとって大変な財産です。
この度、二代目所長に中尾七重博士を迎え、さらに活動を広げ出版以外にも社会に貢献できることはうれしい限りです
阿部和建築文化研究所 主幹研究員
安井 妙子
安井妙子あとりえ主宰。建築家。1948年宮城県生・宮城工業高等専門学校建築学科卒業。一級建築士。
(有)安井設計工房、宮城学院女子大学非常勤講師、岩手県立大学短期大学部非常勤講師を経て現在に至る。
宮城県収用委員、大規模小売店舗立地専門委員会、仙台市環境影響評価審査会委員等をそれぞれ10年間務める。
三十余年に渡り、「寒い」という欠点を取り除いただけで多くの古民家が復権するという信念のもと、徹底した断熱気密補強に取り組み、冬も寒くなく過ごせる家にして次世代に残す仕事をしている。
主な著書、古民家修復作品と受賞歴
1992~1998年「今野家住宅調査解体格納および復原工事」明和6年(1769)建築:宮城県指定文化財・東北歴史博物館内
1999年「ブナの木学舎宮澤邸(享和3年(1803)建築)」に対し㈶住宅・建築 省エネルギー機構主催 第4回環境・省エネルギー住宅賞にて ㈶住宅・建築 省エネルギー機構理事長賞
2001年『古民家復権』宮澤智士、安井妙子共著 発行みちのく伝統建築研究会
2002年 ㈳日本建築学会東北支部主催 第二十二回東北建築賞にて「業績賞」
2007年「千葉家住宅(国登録文化財)」(明治25年建築)に対し㈳日本建築家協会東北支部主催 第1回JIA東北住宅大賞2006にて「優秀賞」
2007年「合掌造り迎賓館 好々庵」(江戸末期建築)に対し㈳建築設備綜合協会主催 第5回環境・設備デザイン賞にて、建築・設備統合デザイン部門「優秀賞」および「BE賞」
2011年「羽生の家」(明治7年(1874)建築)に対し㈶住宅・建築 省エネルギー機構主催 第4回サステナブル住宅賞改修部門にて「国土交通大臣賞」
2012年「羽生の家」に対し 埼玉県主催 第3回埼玉県環境建築住宅賞にて「最優秀賞」
2013年「原町住宅町並み博物館構想―仙台市の伝統的建築を活かして」に対し地域住宅計画推進協議会主催 活動部門「地域住宅計画奨励賞」(阿部和建築文化研究所の活動として受賞)
2015年「百四十年の歴史をつなぐ庄司家の断熱気密補強」に対し独立研究法人建築研究所主催 建築研究所住まいづくり表彰にて「地域住宅奨励賞」
◎高断熱高気密古民家修復工事報告書刊行多数。
◎登録文化財登録業務多数。
◎旭化成建材株式会社のホームページに主幹研究員安井妙子の設計作品「遊佐町指定文化財 語りべの館」が掲載されています。